アダプト・プログラム

アダプト・プログラムの事例紹介


AP

2014年11月

全団体を取材し市のHPに掲載~アダプト活動をPR(美濃加茂市)

美濃加茂市クリーンパートナー制度

美濃加茂市では「ピカまぁる隊」と命名された団体のみなさんが市内で活躍しています。2014年11月現在の登録団体数は32団体・1098人。自治会や有志団体、企業などが積極的に道路や公園の清掃・美化活動を行っています。

活動団体にアンケートを行ったところ、どの団体も「会員数は現状維持。会員数を増やすのは困難」と考えている一方で、「きれいになった公園で子どもが遊ぶ姿を見ると、地域貢献ができたと感じる」「清掃活動に子どもたちを巻き込み、地域に対する愛着心を育てたい」という前向きな答えが返って来ました。

「とびだせ市長室」を開催

28歳の全国最年少で美濃加茂市長に就任した藤井浩人市長は、前職が塾講師ということもあり、子どもの教育や市民との対話に勢力的に取り組んでいます。「市民の生の声を聴きたい」という熱い思いにより、2014年1月に「とびだせ市長室」という団体間交流事業を実施しました。この事業の一つとして開催されたのが、クリーンパートナーと市長との対談。「町内会・有志団体の回」と「企業の回」の2回に分けて実施されました。ここでも、「他団体と交流できたのがよかった」「市長の熱い思いを感じられた」「やる気につながった」と、喜ばれました。

☆「とびだせ市長室」の様子は美濃加茂市HPでご覧いただけます。
第一回市長談話(外部リンクPDF) 第二回市長談話(外部リンクPDF)

事務的な情報収集を、広報事業に発展

市の事業であるクリーンパ-トナー制度は、担当者として各団体の活動を把握する義務があります。当初は各団体の活動日に活動場所を訪れ、活動中の写真を撮影するだけでした。しかしそんな時、職員から「せっかく写真を撮影したのに、市に保管するだけではもったいない」という意見が上がりました。確認資料として保管するより、1人でも多くの方に見てもらった方が、クリーンパートナー制度の周知につながりますし、活動団体のPRにもなります。「他団体と交流したい」「活動内容を発表する場所がほしい」という意見も多かったことから、美濃加茂市土木課施設係では、「団体を知ってもらうには、団体の活動内容を知ってもらうのが一番。美濃加茂市が率先して、その輪を広げていこう」と、2011年から広報誌で事業をPRするだけでなく、市職員が各団体を取材し、活動内容をホームページで紹介し始めました。

活動団体と市職員が一緒に活動し、活動内容を取材

美濃加茂市の「活動団体取材の流れ」をご紹介します。取材のポイントとして「市民の努力を無駄にしないような対応」を心掛けています。まず登録団体と連絡を取り合い、各団体の活動予定を把握します。この時、ゴミ袋や清掃用具など「活動に必要なもの」を確認し、市がそれを用意します。そして当日、準備した アイテムを持って活動場所へ。市職員も、活動団体の方々と一緒に清掃活動を行います。自分も実際に活動することで清掃状況をリアルタイムに感じることができ、団体の方々の思いも伝わってくるそうです。活動後はゴミを分別し、お礼の挨拶をして終了です。

取材自体は1~2時間ですが、この後、市のホームページや広報誌に掲載する原稿を作成します。市の見解に加え活動団体の意見も掲載し、今後の展望と活動団体へのエールで締めくくるのが定番。親しみやすさを出すため「みのかも定住自立圏」のマスコットキャラクターである「かも丸くん、かも美ちゃん」も登場します。よりよい関係を築くために積極的に世間話をし、こぼれ話をPRに反映。顔写真を掲載し、団体からのメッセージが伝わるようにするなど、随所に工夫を凝らしいます。

取材広報活動を継続するためには、お互いにメリットがあることも大事。企業が主体となる活動団体を紹介する場合は、企業のホームページにリンクを貼っています。「市の活動に参加していることを、市にPRしてもらうことは、大きな後ろ盾になる」と喜ぶ企業も多いそうです。アダプト制度導入以前より地域のた めに清掃活動を実施してきた企業も少なくないため、「企業の地域貢献」をPRする格好の場となっています。

取材して原稿を作成するためには、団体の方々から様々なことを聞き取らなければなりません。しっかりと話を聞くことでクリーンパートナー制度への意識が高まるのも、メリットの一つです。


継続するための工夫

取材に当たっているのは、土木課の施設係をはじめ他の係りにも広げています。活動を継続し、若い世代へ引き継いで行くため、取材対応は若い職員が担当することが多いそうです。紙面はパワーポイントで作成しています。ある程度のフォーマットを作成することで、誰でも作りやすく統一感が出るのがポイント。 A4版の紙1枚に収めることでファイリングしやすくしています。

通常業務と並行して行うため、職員の負担が増えるのが若干大変な部分。職員の都合と団体の活動日が合わない、掲載内容が繰り返しになるなどは、今後解消していくべき課題です。現状は土木課施設係が主に行っていますが、今後も他の係に、より積極的に携わっていただきたいと考えているそうです。

「この地域には意識の高い団体さんが多く、一緒に活動をするうちに私も随分仲良くなりました。モットーは、なるべく団体さんと顔を合わせ、声を直接聴くこと。市民と話をすること、直接体当たりで話を聞くことを大切にしています」と、担当の鈴村隆司さん。広報活動に力を入れることで市民に、「自分たちの住んでいる地域は、自分たちできれいにする」という意識を浸透させたいと言います。

ホームページを見ることができない人にも広報をするため、活動をまとめたパンフレットを発行。若い人たちにもアダプト活動や地域の環境美化に関心を持ってもらおうと、成人式で「クリーンパートナー制度」のチラシを配布しています。

土木課施設係のみなさん (左から酒向一也さん、武市雅典さん、鈴村隆司さん)


活動団体と市職員との交流

活動団体の方は、市の広報活動や市職員の対応をどのように感じているのでしょう。「ピカまぁる隊」に団体登録し活動を行っている二つの団体からお話を伺いました。

みのかも花づくりの会

    

美濃加茂市アダプト制度開始から参加しているという「みのかも花づくりの会」は、大手町公園の花植えをメインに活動しています。花壇は「花を植えて終わり」ではなく、きれいに維持する必要があります。特に大手町公園は美濃太田駅のすぐ隣にある街の玄関口なので、「きれいにすることで、街を訪れた人におもてなしをしたい」と、ゴミ拾いや落ち葉の清掃など、環境美化に努めています。実際、花壇周辺は圧倒的にゴミが少なく、タバコの吸い殻も花の近くには見当たりません。花に水をやったり雑草をむしったりするだけでなく、周辺の清掃活動もしています。清掃活動は自主的に行っているメンバーも多く、駅前や国道のゴミ拾いなど、毎日なんらかの清掃活動をしている人も。クリーンパートナーの活動にやりがいと生きがいを見いだし、活動を継続することが健康維持につながっ ているといいます。美濃加茂市役所の広報活動には満足しており、「年がら年中、自分たちの様子を見に来て一緒に動いてくれているんじゃないかな」というメンバーも。自分たちできれいにしようと活動する人がいて、その周りの人が感化されれば、アダプト制度がもっと広がる。活動地域が異なるため他の団体と横 の連携を取る事は難しいが、「美濃加茂市が自分たちを応援してくれていること」そのものが、活動の励みになっているそうです。地域の人の中には「市からお 金をもらって活動しているのだろう」と誤解して認識している人もおり、まだまだアダプト活動に対する認識が浸透しているとは言えない状況。市のさらなる啓 発活動に期待を寄せています。

11月4日「みのかも花づくりの会」の活動取材に同行させていただきました。その様子美濃加茂市HPに紹介されています。
PDF(外部リンクPDF)


薬師下諏訪公園クラブ

個人の活動から地域の活動へと、活動の幅を広げているのが「薬師下諏訪公園クラブ」のみなさんです。最初は地元の老人会である「川合西健寿会」の会長・渡邉さんが一人で公園を清掃していました。しかしすべてを一人で行うのは大変。そこで老人会の仲間や知り合いに声を掛けたところ、9人のメンバーが集まりました。これが薬師下諏訪クラブの始まりです。それから、子どもたちに「公共施設を大切にする心を育んで欲しい」と考え、地元の子ども会に声をかけたところ、子どもと一緒にその保護者も参加するようになり、現在の薬師下諏訪公園クラブのメンバーは、川合西こども会の4~6年生の子どもたち、その保護 者たちと、にぎやかになりました。活動は主に公園の清掃やゴミ拾い、トイレの清掃や草むしりなどを行っています。幅広い年代が参加することで、地域のコ ミュニケーションが活性化することを期待しています。「市の土木課とは、顔が見える関係です。健寿会のメンバーだけで清掃をする時は、年寄りばかりで活動に張り合いがないんですよ。土木課の若い人が来てくれるだけで張り合いが出ますし、行政と連携できているという思いがやる気につながりますね」と渡邉さん。お互いの要望を伝え合うことのできる良い関係が築けているようです。


今後の展望

美濃加茂市では、この広報活動を通じて、活動団体を年に4団体ずつ増やすことを目標にしています。アダプト活動は「自分の住む地域をきれいにしたい」という思いから始めるもの。「最終的に登録団体を●団体にする」という数値目標ではなく、この活動そのものを広げることを目標にしています。少人数や個人で活動している人の中には、「団体登録するのはちょっとハードルが高い」と感じている人もいます。そんな人には「登録はしなくてもいいので、この活動を続けてください」とお願いしているのだとか。アダプト活動は難しいことではなく、気軽に自分のできる範囲から始められるものであり、継続していくことが大切だと周知しているそうです。

活動団体と一緒にアダプト活動を行うことで、市職員の意識が高まり、団体の意欲が向上し、地域への広報にもつながる。まさにWin-Winの関係で、美濃加茂市の環境美化の努力は地域に広まっています。


【美濃加茂市クリーンパートナー“ピカまぁる隊” 概要】

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