北海道洞爺湖(2008)
まち美化シンポジウム2008

新しいまち美化手法「アダプト・プログラム」
国内普及概況と成果
情報提供者:(社)食品容器環境美化協会
審議役 谷津直生
審議役 谷津直生
はじめに:「北海道洞爺湖サミット記念事業・まち美化シンポジウム」開催の経緯と目的

1 アダプト・プログラムとは
(1)アダプト・プログラムの起源
- ADOPT-A-HIGHWAY PROGRAMがその起源:
- 1985年アメリカ・テキサス州が考案し、導入したハイウェイの清掃・美化プログラムがアダプト・プログラムの起源

- ADOPT(アダプト)とは英語で、「○○を養子にする」という意味 :
- ADOPT-A-HIGHWAYの直訳=
「一定区画のハイウェイを皆さんの養子に迎えましょう!
= ハイウェイの里親になりましょう! - その仕組み:
- 市民がハイウェイの清掃・美化活動を行う
州の交通局(行政)は市民の活動を支援する
市民と行政が協働してハイウェイの清掃・美化を行う - ADOPT-A-HIGHWAY PROGRAMの草分けグループ
- “タイラー・シヴィタン・グループ”が世界で初めての里親
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![]() サインボードの上に、サブボードが上乗せさ れており、「世界で初めてのアダプト・ア・ ハイウェイ」と記されている |
- ADOPT-A-HIGHWAY PROGRAMのよくあるシーン
- カリフォリニア州の活動シーン

郡部を走るハイウェイの代表的な風景
広い道路脇の清掃・美化が主要な活動
通常1区画は2マイル
区画の始まりと終わりにサインが立てられる
何もないところにアダプト・サインが立っているため、非常に目立つ。
このサインがADOPT-A-HIGHWAY PROGRAMの急速な広がりに大きく寄与した
(2)国内のアダプト・プログラムの一般的な図式
2.国内のアダプト・プログラム導入プログラム数の推移
- 日本のアダプト・プログラムは約10年前の1998年に四国で始まった。
- 以降、概して、西日本から東日本に広がり2001年には、北海道から九州にいたる全国に浸透した。
- この2001年には札幌市・西区が導入した。北海道で一番早いアダプト・プログラムである。
- 室蘭市が2004年に導入。
- 洞爺湖町は2007年夏の導入。
- 2007年末の導入プログラム数は約350件。人口2万人以上の市・町の3割強がアダプト・プログラムを導入している。
- 北海道では、22件のプログラムが稼動している。
●北海道のアダプト・プログラム
- 北海道では20の自治体によって22件のアダプト・プログラムが導入されている。
- 名称は様々である。22件中、アダプトの名称を冠しているのは5件。あとの17件は各地のオリジナル名称である。地域密着のプログラムとしてス タートし定着を図る意図が読み取れる。ただし、反面、名称が分散しアダプト・プログラムという相乗効果が生かされ難い問題点もある。
- 地域の個性を尊重し、かつ、全国的な相乗効果を生み出す工夫が今後の課題である。
3.アダプト・プログラム活動団体数の推移 
- 当協会では7年前の2001年から団体数の調査を行っている(導入自治体調査)。
- 2001年では約1,200団体であったが、6年後の2007年にはほぼ10倍の12,800団体に増加している。導入プログラムの増加を上回る ペースで推移している。
- 2007年の活動人員は70万人を超えると推定される。70万人が年間何回か活動するのであるから活動延べ人員は非常に大きな数となる。活動頻度 は、地域と場所によって異なるが月に何回という高頻度もあり、年に何回のケースもある。
4.
アダプト・プログラムの参加団体構成 
- 2007年度に当協会が実施したアダプト・プログラム導入自治体調査の結果である。
- 全体の25%が「町内会・自治会」である。次いで「地元企業」が2割。両者を合わせて50%弱となる。アダプト・プログラムは地域密着の里親構成 である。
- 以下、「環境団体」「サークル」「青年会・老人会」「商店会」「学校」など、多様な主体がアダプトに参加している。裾野が広い。
- 「学校」が4%、実数では約400校が参加している。学校をサポートする形で父兄、町内会が協働しており、学校を核とした地域アダプト拠点といえ る。
- 新しい制度アダプト・プログラムは、これまで環境活動に参加していなかった層を取り込んでいる。
5.
アダプト・プログラムが導入されている場所 
- 導入自治体調査の結果、アダプト・プログラムを自治体エリア「全域」を対象に導入しているケース、「道路」に限っているケース、「公園」のみなど 導入パターンは各地各様である。
- これを全国で集計すると、結果として、道路で導入している自治体が8割、公園7割弱、河川敷4割程度・・・・である。
- 公園の場合、ほとんどの自治体で以前から「公園愛護会」などの名称で、助成金つきのボランティア制度を実施している。徐々にアダプト・プログラム にシフトしつつあると考えられる。
6.
アダプト・プログラム 市民の活動内容
- アダプト・プログラムの基本活動は「ごみ拾い」と「除草」である。日本で導入された初期においては、この活動に集中していた。
- 普及が進むと共に、活動が多様化し、左記の通り、地域が必要とする広汎な美化活動が取り入れられている。
- 活動の多様化と共に、行政内部の部門間のヨコの調整も、より多面的になっている。
- なお、近年、左記の外に、「道路の簡易補修」「ガードレールの塗り替え」など、従来のボランティア活動から一歩踏み込んだ活動も行われている。
7.
アダプト・プログラムの導入成果
1)アダプト・プログラム導入自治体の自己評価
- 導入自治体のアダプト担当者はその成果について左記のような評価を下している。
- まず、アダプト本来の目的である「まちの美化」については、約9割の担当者が効果を認めている。
- 美化効果以外の意識効果についても評価は高い。すなわち「環境美化の啓発」「まちへの愛着心」「地域連帯強化」「地域イメージUP」など多面的な 効果が認められている。
- 「まち美化の実効」を通じて「まちづくり」に貢献するプログラムであるといえる。
2)美化効果の検証調査結果
- 名古屋市とタイアップし、同市の協力を得て、アダプト導入地点で、実効の有無を検証した。
- 名古屋市天白区の野並交差点周辺の「歩道」と「植え込み」約100mのごみを毎月1回(第3金曜日7:30〜8:00)調査した。
- H17年5月からH18年9月までの16ヶ月の間、着実に散乱ゴミが減少したことが実証された。
- 調査は、落ちているゴミを全て拾い(清掃し)その後、アイテム分類別に個数をカウントした。また、このエリアでは、アダプト以外の清掃は行われて いない。従って、「散乱ゴミの個数」=「前回調査以降1ヶ月で発生したゴミに個数」である。
- 従って、「美化の実効」のみでなく「ポイ捨て防止の啓発効果」も検証された。
3)アダプト・プログラム参加市民団体の
声ーその1:導入効果
- 2005年8月にアダプト・プログラム参加市民団体1,200団体にアンケート調査を行った。回収票567=ほぼ半数の団体の回答が得られた。
- 集計結果は左記の通りであるが、この結果は自治体調査の結果とほぼ同様である。
- アダプト・プログラムの導入効果については、「美化の実効」「まちづくり効果」など、双方の調査が同じ結果を示した。
4)アダプト・プログラム参加市民団体の
声ーその2:アダプト・プログラムの特徴とメリット
- 参加団体にアダプト・プログラムと通常のボランティア活動とどこが違うのか、アダプト・プログラムの特徴をどのように感じているか質問した。
- 「活動責任があるところがよい」「継続できるところがよい」「遣り甲斐を感じる」など、根本的な特徴が評価されている。
- また、「サインでアピール」「行政からの支援が厚い」など、具体的なメリットも評価につながっている。
8. アダプト・プログラムの特徴と成果の“まとめ”
市民にとってのアダプト・プログラム「公共スペースの里親になる」という発想:
- 「行政の清掃事業を手伝う」より一歩踏みこんだ「自分たちと行政の共通課題」との認識。
- 市民にとって、「遣り甲斐」「継続性」「社会的に認知されている制度」。
- 誰でも参加できる新しいプログラム。
行政にとってのアダプト・プログラムアダプト・プログラムという発想:
- 単なる「清掃事業の委託先の変更」ではない。「互いにパートナーとして、協働してまちの美化を進める」との認識
- 実効があがり、かつ、採用可能なプログラム。
- 継続する、持続可能な制度。
- 「まちづくり」につながるまち美化クログラム。
→ 中央シンポジウムについてはこちら
第11回(2009年) / 第10回(2008年) / 第9回(2007年)
→ 地方で行われたシンポジウムについてはこちら
大阪シンポジウム(2010) / 磐田シンポジウム(2009年)


