第3部 アダプト・プログラムの先進事例紹介
アダプト・プログラム シンポジウム2009
第3部
①大阪府 アドプト・ロード・プログラム
「アドプトを通じて夢を紡ぐ〜進化するアドプト〜」と題しまして、大阪府の取り組みをご紹介します。大阪ではアダプトではなくアドプトと発言しています が、これは大阪弁ということではなく、イギリス英語とアメリカ英語の発音の違いです。
大阪は橋下知事に代わりましてから職員も大変でして、大阪財政再建プログラム等いろいろな施策が打ち出されています。マスコミ等では財政難というかわい そうなところがよく出るのですが、実はこの施策はアドプトとの関連が非常に多くあります。例えば府民主体であるということ。更には行政と府民が一緒に汗を かこうという協働といった視点。そして、地域特性を重視するといったポイントが施策の中に盛り込まれています。
大阪のアドプトは、平成12年にスタートして来年10周年の節目を迎えます。アドプト・ロード、アドプト・リバー、アドプト・シーサイド(港湾)、アド
プト・フォレスト(企業メイン)、こういったアドプトを進めています。それぞれに活動団体・大阪府・市町村の三者で協定を結んで取り組んでいます。
課題はいずれの自治体でも共通かと思いますが、ボランティア活動者の高齢化やリーダーの孤立といった不安定さ、花の苗代・水道代といった運営資金の確
保、制度・活動の周知などが挙げられます。これからいくつかの事例をご紹介しますが、こういった課題解決のヒントが隠されているのではないかと思います。
まず花工房、フラワーファクトリーの活動です。この団体は、花の種から苗に育てて道路や河川に植えています。また、この苗を他の団体にも提供していまし て、いわゆる苗バンクも行なっています。この活動のポイントですが、種から育成することによって、苗の供給を確保するという持続可能な活動であるという 点。それから、活動力のあるこの団体が、他の団体の苦しいところをサポートしているという点。これによって、団体間のネットワークが作られています。
次に、ヒツジを仲間に入れているという面白い取り組みを紹介します。これは河川公園における自治会によるアドプト・リバーで、草刈りの担い手としてヒツ
ジを仲間に入れています。毎年ゴールデンウィークにはヒツジの毛刈りとか、川に鯉のぼりを掛けてフェスティバルを開催するということで、多くの人で賑わっ
ています。この活動のポイントは、河川公園という広い区域の活動ですので、本当はしんどい草刈り仕事を、ヒツジを仲間にすることによって楽しみに変えてい
る点。これによって子どもから大人までが活動に参加する仕組みになっており、我がまちの愛着心の醸成につながっています。
続いて、落書きを消す作業をアドプト活動に入れている団体です。落書きというのはどこの自治体でも苦労をされていて、消しては書かれのイタチごっこに なっていることが多いと思います。ここでは、白ペンキで落書きを消した後、自分たちで考えた絵を描くという活動を行なっています。心ない落書きに対して、 絵を描くプロセスを大事にした活動で、出会う、楽しむ、汗をかくという三つのチャレンジで取り組んでいます。例えば子どもたちが絵を描くのを、大学生がサ ポートをしています。これは学生にとっては学習のチャレンジになっています。このポイントは、落書きを消すだけならしんどい活動ですが、ペイントする楽し みに変えている点、やらされているではなく、先手必勝の成功体験を作っている点です。そこの地域にしかない世界にひとつの絵ということで、我がまちの愛着 心の醸成につながっています。
次に、年に一度アドプト団体が一緒に活動をしようという取り組みです。大阪には大動脈である大阪中央環状線という道路があるんですが、それを一斉に掃除
しようという取り組みの「中環をきれいにする日」が昭和60年から続いており、今年で24年目になります。毎年9月に行なっていて、今年も食環境さんにも
ご協力をいただき、9月18日に3,700人が清掃に参加しました。企業さんにも38社から金銭換算できるものだけでも400万円という協賛金をいただい
て活動をしました。大阪府は橋下知事に代わってから、こういった費用を一切公費で出せなくなっています。それでもこういった歴史ある清掃活動を続けていこ
うということで、企業の協賛をいただいて、公費ゼロ・企業協賛100%で盛り上げることが出来ました。この活動のポイントは、企業のCSR活動と関連付け
て、財政難で持続が難しくなっている事業を持続可能にしている点です。更に、企業・府民・行政が一緒に汗をかくというところが成功体験になっているところ
もポイントかなと思います。
次に、交流の場の事例です。アドプトの新聞や、交流会、支援サイト、ブログも立ち上げていますが、それぞれがうまくいっているかというと、必ずしもそう
ではありません。ブログについては、なかなか広がっていないという課題を持っていますが、逆に、ブログの使い方勉強会で職員が活動団体に出向き、顔を合わ
せるというきっかけの一つになりました。
以上、事例の紹介をさせていただきましたが、これらの活動は、課題解決のヒントになっているのではないかと日々思っています。もともとアドプト活動とい うのは、まちを綺麗にする、掃除をするということで始まったのですが、環境・観光・教育などいろいろなテーマで広がりを見せています。単に綺麗にすること だけではなく、人と人を紡いで、地域の底力や魅力づくりのためのプラットフォームになってきているのではないかと思っています。
次に、企業とのかかわりについてお話しします。大阪府は厳しい財政事情の下、あらゆる場面で企業からのご支援をいただいています。企業の方もCSRとい
うことで、熱心に取り組んでおられます。この企業のCSR活動と府民を結ぶのが行政の役割だと思っています。府民・企業・行政がおのおの違う立場にいなが
らも、一緒に汗をかくということが、活動の発展であったり、持続可能な取り組みとなったりしていくのではないかと思っています。
大阪府の職員は、コーディネートをする役割ため、日々営業活動をすることという業務命令が出されています。企業に営業を行う際のポイントとして日々感じ
ていることは、企業は自社に関連する分野について、資金や人、技術といったことを提供してくださいます。ですから、企業にとってメリットのある企画を練っ
て、ひたすら営業を掛けることで、その輪が広がっていくということを日々実感をしています。
また、職員向けの営業心得、虎の巻というものがあります。一、言うてみな分からん。これは大阪弁ですね。相手が何を考えているかは、話してみないと分から
ない。言ってみたら、相手もそんな機会を待っていたということも多い。一、多様な営業ツールで勝負。協働ということの多様性マジック。相手のニーズに合わ
せて自由自在。一、「私」で売り込め。大阪府で売るのではない、私個人で勝負。そんな私に、大阪府は必ず後押しをしてくれます。一、駄目なら潔く引き下が
れ。相手があることに完ぺきはない。断られたら、企業ニーズを知って、また一つ成長したと心得る。まいた種はいつかきっと芽を出す。とにかくデスクに座っ
ても始まらない、種をまくつもりで1人でも多くの人とつながることが協働の第一歩という指導を受けています。
大阪府のアドプトは、来年10周年を迎えます。10周年を三つのテーマで盛り上げているところです。まずは10年間活動をしていただいた方への感謝。そ
れから、若者をターゲットに、新たなコミュニティづくりを進める「輪」。更に、10年後の20周年、つまり成人式を見据えた未来という三つのテーマです。
本当の課題は、最初にお話ししたような目先の課題ではなく、
もっと大きな、今のアドプト活動が後々、自分や周囲の幸せにどういう影響を与えるのかというビ
ジョンの共有。それから、それぞれの地域での活動の成功体験を連鎖的に広げていくための見える化ということが、本当の課題ではないかと日々感じています。
最後に、「道を紡ぐ」ポスターをお付けしました。横線の黒棒が道、色とりどりの縦線が活動を表しており、交点は視覚効果で光って見えます。アドプトとい
うのは、人と人とを紡ぐ一つのきっかけである。人が交わることによって、この光を増やしていきましょうということのアイキャッチャーになっています。縦糸
と横糸を紡いで強固な布を織るように、強く魅力的な地域、豊かな未来をつくっていこうということをイメージしています。
この「道を紡ぐ」をコンセプトワードに、大阪府では今後もアドプト活動を広げていきたいなと思っています。
②青森県八戸市 はちのへクリーンパートナー
まず八戸市の概要についてご説明します。八戸市は海から開け、海と共に発展してきたと言われており、臨海部には漁港・商港・工業港を有しています。八戸
市は青森県の南東部に位置し、太平洋を望む人口約24万5,000人の都市で、東京からは600km北に位置しています。八戸までのアクセスは、東北新幹
線はやてにより、最短で2時間56分で結ばれています。私も先ほど東京にまいりましたが、その際には3時間2分で八戸駅から東京駅までまいりました。市の
花はキク、市の木はイチイ、市の鳥はウミネコです。八戸市は、古くから三陸沖の好漁場に恵まれた日本有数の水揚高の漁港を有する水産都市です。名勝種差海
岸は、天然の芝生が海岸線まで広がる観光地です。ここでは近くの遊歩道、海水浴場を含めて、クリーンパートナーによる海岸清掃が活発に行われています。国
の天然記念物である蕪島でも種差海岸同様に、清掃活動が最も活発に行われている地域の一つです。蕪島はウミネコの繁殖地として有名です。八戸市の夏祭り
は、八戸三社大祭です。これは280年の歴史と伝統を誇るお祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されています。この夏祭りの開催前・中、後と、多くのク
リーンパートナーから、祭り会場内外の清掃を行っていただいています。私ども八戸市職員も、クリーンパートナーである地元の電力会社と協働で、前夜祭の前
日に当市の副市長を団長とした有志一同による清掃活動を毎年行っています。今年3月、当市から出土した縄文時代後期後半の合掌土偶が国宝に指定されること
が決定しました。現在当市から豊富に発掘される縄文時代の遺跡を収蔵する縄文館を建設中です。この縄文館周辺も、他の観光地と同様クリーンパートナーによ
る清掃活動のメッカになることを、私担当者としては期待しているところです。
さて、本題のはちのへクリーンパートナーについてご説明します。
制度導入の経緯ですが、はちのへクリーンパートナーも、もちろんアダプト・プログラムを基にした事業です。当市では、アダプト・プログラムを導入するこ とを目的に、平成14年度に検討会が立ち上げられました。それは当時の市長が、環境美化活動に非常に熱心であったことから、トップダウン的に立ち上げられ たものです。検討会の参集範囲は、何らかの形で清掃活動に関する事業を持っていた課でした。検討会の当初は、現状維持を肯定するようなアダプト・プログラ ムに消極的な意見も多く出されたと聞いています。
2回目の検討会において、企業等の清掃活動実施のニーズがあるということが報告され、アダプト・プログラムの事業対象場所を検討するなど、前向きな議論 になってきました。
3回目の検討会では、各課の立場からそれぞれ意見が出されました。観光課からは、県立自然公園内の風致保護や清掃業務、ごみ収集運搬処理業務を、町内会 や各種団体に委託しており、アダプト・プログラムの導入には何らかの異論があると思われるものの、関係団体と協議するという前向きな回答がありました。港 湾河川課では、河川堤防等の草刈り、及び水路等の浚渫を委託しておりましたが、アダプト・プログラムの趣旨にそぐわない場所が大半であるため、導入を見送 りたいとの意見が出されました。その理由としては、危険であるといったことでした。道路維持課からは、市内の2社にアダプト・プログラムの概要を説明し、 周辺道路の里親になってくれるよう打診した旨が報告されました。その際の具体的な内容としては、歩道の散乱ごみの収集、路肩の草刈り、排水溝等の清掃でし た。公園緑地課からは、歩行者専用道路について里親を公募したいとの意見が出されました。歩行者専用道路の一部は、その時既に町内会や、個人的なボラン ティアによって、草刈りや街路樹の剪定が行われていたものの、全体としては手付かずの部分が多いとのことでした。
また、アダプト・プログラムの導入にあたっての問題点もいくつか指摘されました。まず清掃用具や保険費用についての予算の問題が挙げられました。また、
予算がないことから導入が難しいとされた問題点について、各担当課がそれぞれの担当事務のうち、対応可能なものも挙げられました。収拾したごみの処理につ
いては、清掃工場ではアダプト・プログラムによるものであれば、処理量を減免して無料で受け入れる。またごみ減量対策課では、町内会での清掃活動や環境美
化協議会主催の全市一斉ごみゼロ運動で使用するために既存で製作していたボランティアごみ袋を、アダプト・プログラムの参加者にも提供出来るとしました。
こうして検討が行われましたが、結果的には清掃用具の提供や看板掲示の費用、増加する事務量を考慮した場合、費用対効果に疑問があるという結論にいたり ました。そこで、検討会で参考としていた、他都市で既に導入されているアダプト・プログラムの内容にこだわらず、八戸市版のアダプト・プログラムとして実 施する案が作成されました。里親となる場所は特定せず、清掃業務や保険、看板の設置も市は関与しない。清掃用具は支給せず、ごみ袋を提供する。提出書類等 は申込書だけといった簡易なものとして実行していく案です。
平成15年に八戸市版のアダプト・プログラムとして、はちのへクリーンパートナー実施要項を制定し、市長定例記者会見、市広報誌の他、市内のコミュニ ティFM等のマスメディアを利用して、市民への周知を図ってきました。要項制定後の約1か月間で、29の団体・個人が登録し、伝達式においては、市長から 登録証が交付されました。
当市のクリーンパートナー制度の概要ですが、アダプト・プログラムの趣旨を採用した市民のボランティアによる清掃活動を市が支援する環境美化制度です。
クリーンパートナーは、市内の個人・団体・企業など、誰でも申し込むことが出来るとしています。平成15年5月の登録証の伝達式では、登録数が29であっ
たものが、今年9月末現在では個人・団体を含めて182団体、延べ1万9,450人が登録しています。
各主体の役割としては、市民の役割は清掃活動、市の役割はごみ袋の提供、関係者との連絡調整、報道機関への周知、市のホームページ等によるPRです。
登録団体の内訳は、企業が最も多く、登録人数では学校が一番多くなっています。 クリーンパートナーに登録する際に唯一提出していただいている書類が申込書です。申込書は庁舎の他、市のホームページにもワード、PDF形式で載せていま す。申し込みは直接庁舎にお持ちいただくか、郵送・電子メールでも受け付けています。
また、はちのへクリーンパートナー登録証を登録していただいた個人・団体の皆さんにお渡ししています。お渡しする際には、なるべく郵送等によらずに、事
業所や学校にお伺いして、制度の概要説明や、申込者がどのような目的や考えで申し込んでいただいたかについて、直接お伺いしています。
ごみの分別についての注意事項も用意しています。ごみは燃やせるごみと燃やせないごみに分別していただいています。また、収集の対象外としているごみも
明記しています。
次に活動の様子です。4月には障がい者福祉サービス事業所であるコスモス園の皆さんが、河川敷の清掃活動を行ないました。また、八戸郵便局の皆さんには
蕪島で清掃活動をしていただきました。電気工事事業所の河原木電業の皆さんには、八戸港内にある人工島であるポートアイランドで清掃活動をしていただきま
した。八戸工業大学はお祭り期間中、毎朝清掃活動をしていただいて、収集したごみを市役所に集めてくれました。学生さんが多く参加しているのですが、単位
の取得と大きく関係していると思われます。八戸建設業協会の皆さんには、農道の部分を多く清掃していただいています。
市のホームページには、クリーンパートナーの紹介ページがあります。トップページで団体名をクリックすると、具体的な活動内容を見ることができます。今 後はより円滑な清掃活動の推進、また他の環境関連施策と相乗効果を発生させ、それぞれの施策においてより大きな効果を得られるようにしていければと考えて います。
人と自然と地球に優しい循環型都市八戸を市民と協働で実現していくための施策の一つとして、今後もはちのへクリーンパートナーを継続していきます。
③宮城県仙台市 せんだい・みやぎNPOセンター
基調講演で、NPOが行政と団体との間に立つとよろしいのではないかというお話をいただきましたが、私は仙台・宮城を中心に、市民活動団体の応援をする 市民活動団体をしております。設立から12年目です。私たちの団体は市民活動を応援するだけではなく、市民の方がいろいろな形で社会に参加することのお手 伝いもミッションにしています。それから、行政と企業とNPOをつなぐということも目的に活動しています。
せんだいまち美化活動アレマ隊の10年として、なぜ私たち中間支援組織がまち美化活動とつながるのかというところも、ちょっとお話ししたいと思います。
10年程前、環境心理学シンポジウムでビーチクリーンアップの取り組みを知る機会がありました。そのデモンストレーションとして、仙台の広瀬川河川敷で
ごみ拾いをしたのが、私の初めてのごみ拾い体験でした。
私たちが汚れても大丈夫な格好と、寒さに耐えられる格好をして待っていたところ、東京から来たビーチクリーンアップのリーダーは、ショッキングピンクの ジャケットを着て、とても派手な格好で現れました。ごみ拾いからいろいろな気付きがあるのだということを、その人は私たちに教えてくれました。おっかな びっくり参加していたごみ拾いも、最後には初めて会った人たちが和気あいあいとごみについて話し合うことが出来ました。私は、もうちょっとごみ拾いという イメージを変えた方がいいのではないかとその当時思いました。
そういった意味で、まち美化活動というのは、気軽に人とコミュニケーションが図れることなのではないかと思っています。まちを綺麗にしたいと思う方もい れば、モラルを守れと怒る人と両方いると思います。この両方を結び付けていくのがアダプト・プログラムがあると思います。
仙台市では、もともとまち美化に関する条例があったようなのですが、ちょうど平成10年頃、全国的に罰則を設けて条例を作ることがはやっていたようで す。仙台市でも見直しを図れという市長からの号令が出ました。しかし、罰則を実行した自治体があるのか調べたところ、今まで罰金を取ったことはなく、これ は本当に意味のある条例なのかと悩んだそうです。
その悩んでいた時に、ちょうど出来たばかりのせんだい・みやぎNPOセンターに相談来て、代表の加藤が、ごみ拾いといったまち美化にとどまるのではな く、まちづくりという視点で考えてみてはどうかという提案をしました。それでポイ捨てごみからまちづくりを考えるキャンペーンで、各区でフォーラムを開き ました。
市の担当者が一番恐れていたのは、長々と市への文句を言う人がいるのではないかということだったので、私たちは平等に市民の人たちが発言出来るようなタ イムマネジメントをしました。それから、すべての人が発言出来るように、意見を紙に書いてもらい、それを集めて、反対意見と賛成意見の両方があるというこ とがわかるようにしました。そこから話し合いをしてみんなでアイディアを出し合っていくワークショップを各区で行い、まとめたものを皆さんにフィードバッ クしました。
これを踏まえて出来たのが平成11年3月のごみの散乱のない快適なまちづくりに関する条例というものです。ごみの散乱がないのは当たり前だと思うんです が、まちづくりという言葉が入っているところが、この仙台市の条例の特色だと思います。今度はそれをどう具体的にするかということで、ワークショップでい ただいたご意見をなるべく反映した行動計画にするよう、ワークショップに参加した方と市民の方たちにご意見をいただいて行動計画案、条例案を作ることにし ました。
その結果誕生したのが、このアレマ隊です。まち美化に関して何かやりたい方がいたら、どんどん参加してくださいと言っていたんですが、ポイ捨てした人に
対して注意すると、逆ギレされて怖いので、ちょっとユーモラスな発想でアレマと驚こう。これがこの名前の由来になっています。
アレマ隊員証の裏に、三つの誓いが書いてあります。ポイ捨てを見て見ぬふりはしないで、アレマと驚きましょうとか、友達とか恋人にもポイ捨てはさせな い、こんなものを楽しく作ってみました。
活動としては三つ、拾う・数える・考えるというコースがあります。一つは普通に拾う活動ですが、二つ目の数えるは、調査をする活動です。これはビーチク リーンアップをやっている団体の人たちに相談をして、たくさん拾うより、ポイ捨てごみには何がどのぐらいあるのかを分析するものです。これが結構面倒臭い んですね。だけど、小学生とか中学生たちは調査というのがごみ拾いよりも楽しいようで、先生たちも3〜4年生での環境活動は、数えるコースが多いようで す。ごみの種類や数、どこにどんなごみが落ちていたか、そういったことを分析していると、ポイ捨ての傾向が分かってきて、この地域は空き缶が多いとか、コ ンビニのレジ袋が多い、圧倒的にたばこが多いとか、海岸だと発泡スチロールの破片が多いとか、いろいろな原因が見えてきます。
すると、どうしてなんだろうということ考えることが出来るようになります。漠然とごみが多いというよりは、どういうごみがどのぐらいかが分かった方が、
対策が立てやすく、解決策が見つけ出しやすいということですね。
例えばたばこのポイ捨ての多い地域では近隣の会社に働き掛けるとか、いろいろ策が取れるようになります。ですから、たくさん拾って、気持ちがいいという のも一つですが、データを把握するということの方が、原因を元から絶つことに繋がるといったことが見えてきました。
アレマ隊の活動は10年間で5万人で、仙台の人口は100万人と考えるとあまり多いとは言えないかもしれません。ただ、毎年継続して活動を行っている方 もいらっしゃいます。学校・企業の単位で活動している人も、毎年報告を出していただいています。仙台のまちの10年を振り返ると、本当に綺麗になったと思 います。私が思うだけではなく、アレマ隊の人たちと交流をしてもごみが少なくなったという声を毎回聞きます。レポートにもそれが書いてあります。毎日ごみ を拾っているから分かるんですね。
行政からやってくださいと言われる町内会清掃とは異なり、自発的に活動しているので、行政は何の役割をするかというと、活動する人たちの応援をする役目
を果たしています。アレマ隊活動マニュアルという冊子があるんですが、「罰則はありません、支援があります」というスローガンが、ちょっと画期的だったの
ではないかと思います。
その後に千代田区で罰則を設けたことが全国的に注目され視察に行ってみると、大変なコストが掛かるかということで愕然として帰ってくる自治体の方いたよ
うです。私は、お金を掛けてやることではなくて、市民の自発性を尊重して、それを支える側に行政は回るべきではないかと思っています。
実は、仙台市にはまち美化サポーターという仕組みもありまして、こちらの方は皆さんの自治体とあまり変わらないと思います。特定の区域を仙台市に登録し て、団体、もしくは企業が年に6回以上、活動と報告をすることになっています。
現在登録している団体がどのぐらいあるのかといいますと、平成20年の10月までで、121団体です。この活動が始まった平成13年には22団体だった んですが、それから10団体、9団体、13団体、12団体と増え、平成18年に急に34団体も増えたんです。これは一つの企業が市内の支店全部にアダプ ト・プログラムの参加登録をさせるということで、そこが18も一気に登録したのです。これはいいことだと思うんです。地域と一緒に活動をするということを 推進するというのは、やはりチェーン店ならではの取り組みだと思います。
登録している団体は、やはり圧倒的に企業が多いのですが、その中にはサークルや学校、NPO、中には家族2人というのもあるんです。
アレマ隊もあり、まち美化サポーターもあるので、いろいろな形でセレクト出来るという点で、評価をしていただきたいと思っています。
行政が一所懸命やらなければいけない、一番の課題だと思うのは、実は庁内ではこの活動が評価されていないというよりも、知られていないのです。ですか ら、私は仙台の誇るべき取り組みだといつも言っているのですが、担当者は配属になってもそのように意識されないようです。ワケルくんの方がよほど知られて いたりするので、私は非常に憤慨していることが一時ありました。
キャラクターの名前を付けなかったのが失敗だったかなとは思いますが、ワケルくん以上に長くアレマ隊はこのキャラクターを10年間続けていまして、浸透 させようということでやってこられたと思っています。10年を迎えて、次のステップに向かっていくところですので、これからは今までの成果をいかに発信し ていくのかの工夫が必要だと思っています。そこは官民一緒にということでは、他のお三方の事例を参考にさせていただきたいと思います。
第3部 アダプト・プログラムの先進事例紹介
