第3部 先進事例紹介 (NPO法人スマイルスタイル)
アダプト・プログラム・シンポジウム2011
第3部
アダプト・プログラムの先進事例紹介
③ NPO法人スマイルスタイル
活動を始めて4年半ぐらいになりますが、当時はアダプト・プログラムという言葉さえ全く知りませんでした。ですから、アダプト・プログラムをやろうと思って始めたわけではなく、身近な地域の環境問題に取り組もうと考えていました。ごみ、ホームレス、不登校、引きこもりなどさまざまな問題です。アダプト・プログラムが養子ということだとすれば、地域の問題を自分のことのように考えて、アダプトとか社会貢献とかボランティアという大義名分はどうでも良くて、自分の庭のように思ってごみ拾うべきだと思います。
若い世代は、心にグサッと刺ささらないと動かない。地域のつながりが希薄になっていたりコミュニティが崩壊していたりすることが、地域のことを自分のことのように見られない一番の原因だと思います。僕らがやっていることは、社会の問題が自分事に考えられるようなライフスタイルを作っていくことです。どれだけニュースがあっても、人の心や意識はなかなか変わりません。体感・体験することで、行動や意志が変わってくるので、ボランティア活動はすごくいいと思うのです。
仕事帰りや学校帰りに参加出来るように、夜8時から1時間のごみ拾いをしたり、カラオケや飲みに行く感覚でオールナイトごみ拾いをしたり、無人島ごみ拾いとか、普通のボランティア活動に関心がなくても、こういうイベント的な響きにグサッと刺さる人もいます。
大阪市のアンケートによると、2割はボランティア活動・市民活動に参加したことがある意識の高い人、次の2割は全く興味がないし参加したこともない人、あとの6割は機会やチャンスがあればやってみようという人たちです。僕たちはこの6割の人たちの機会になりたいと思っています。そこでハードルを下げて、ボランティア活動の最初のステップとして参加してもらえるように工夫しています。
今では、大阪の地域や企業からいろいろな相談が舞い込んできます。企業から地域活性化イベントの相談や、ドラッグやエイズ問題なども知ってほしいから何か出来ないかという相談があります。そういう相談に応えていく中で、結果的に仕事になっていきました。
ごみ拾いは定期的に行っています。オールナイトごみ拾いは月に1回とか2か月に1回のペースで、その他にも北新地ではクラブのママがごみ拾いに参加してから飲みに行くという循環が生まれています。アメリカ村ではFM局が運営しているカフェのマスターがチームリーダーをしているので、アーティストやクリエイターが参加してくれます。尼崎では尼崎高校の野球部監督がリーダーで、先生方が参加しています。池田では歯医者さんがリーダーなど、全然違う分野の人たちが参加してくれるので、それぞれ無理なく月1・2回ペースで4年間続いています。
夢のコラボレーション研究所は、人の夢をみんなの夢にしていこうと、インターネット上で個人の思いやアイディアをたくさん集めて、その実現をサポートしていく試みです。 その中で、大阪の大手美容メーカーから社会貢献をしたいという相談があり、会社としてどういうことを地域でしたらいいか、社会にどう訴え掛けていくかを、経営理念から再構築しようとしています。それをフリーペーパーやホームページでビジュアル化して紹介しています。
また、小学校でも教材開発やキャリア教育プログラムを作らせてもらっています。今、キッザニアや職業体験の機会はたくさんあるのですが、かっこいい仕事を小学生で体験しても、大人になってそういう仕事に就けるのはごく一部です。地域の中に働く仕事はたくさんあるのですが、それは選ばれず、どんどんニートやフリーターが増えているのです。そこで、新しい仕事を創造したり考えたりする力を身につけ、子どもたちが地域の課題を楽しく解決していく、インプットとアウトプットのプログラムを作り、去年50の小学校で導入しました。天王寺の小学校では、1日目の授業で地域にあいさつが少ない、コミュニケーションがなく寂しいという課題を見つけました。そこで2日目、あいさつを増やすアクションを考えて、あいさつ自動販売機を作ることに決めました。3日目に、段ボールであいさつ自動販売機を作り、4日目にはJR寺田町駅に20台設置しました。朝の通勤・通学の方々にあいさつカードを配り、自動販売機から顔だけ出した小学生があいさつをします。子どもたちが欲しかったあいさつやコミュニケーションが、自分たちで出来た、まちを変えたということで大成功でした。この取り組みは、阪神の藤川球児さんに表彰してもらいました。
地域にはごみの問題だけでなく、いろいろな問題があります。子どもの頃からその問題に対して能動的・主体的に楽しく面白く関わっていく力、考える力、一歩踏み出す力を身につけもらえるよう、どんどん追っていきたいと思います。
先を見据えて、ニートや引きこもり問題、生活保護の問題も結構深刻ですから、その解決に向けて新しいセーフティネットを作っていくために、大阪府と一緒にやっています。主体的に地域の問題に関わっていくことが自然に出来たらいいなと思っています。
①香川県 ②藤沢市 ③スマイルスタイル(NPO) ④三国コカ・コーラボトリング㈱
