アダプト・プログラム

5.目標値・評価指標


◆目次


(1)“数・数値(団体数・参加者数など)”による評価

アダプト・プログラムの事業評価をする際に、団体数や参加者数といった「数・数値」を目標や基準として挙げる自治体が多いです。

「導入の目的は何か」「何のために評価をするのか」を明確にすることで評価基準の変わってきます。

・団体数、参加人数など「数」

団体数や参加者数が増えれば、それだけ活動範囲を広げることができ、多くの散乱ごみを拾うことができます。 また、地域の環境を良くしたいと思っている人が増えることで、より大きな連携につながったり、地域づくりにつながります。

・不法投棄の数

不法投棄をそのままにしていればさらにゴミがゴミを呼ぶことになります。 アダプト活動等によりきれいに維持することで不法投棄の数は減らすことができます。

・費用対効果

事業仕分の際に補助金制度(河川愛護、公園愛護など)は補助金削減や見直しなどの評価が下りているとの報告をよく受けます。 予算をかけずにより効果的にまち美化を進めることが必要です。

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(2) “数・数値(団体数・参加者数など)”以外の評価基準

アダプトを始める前と後で見違えるようにきれいになったり、ゴミ拾いから他の環境美化活動へつながったり、 地域のコミュニケーションの場となりまちが活気づいたり、数だけでは測れない効果も出ています。

「何のために評価をするのか」「導入の目的は何か」を明確にすることで評価基準の変わってきます。

■ 数だけでは評価できない理由

団体数増加により下記のような問題が起きています。

・団体数の伸び悩み
・参加団体の清掃活動が継続されないケースがある。(里親のおきざり)
・職員の団体への聞き取りが減っている。(参加団体のモチベーションの低下につながる)

また、「実施を予定している」は上記と同等あるいはそれ以上の回答がありました。

■ “数・数値(団体数・参加者数など)”以外の評価基準

・水質や生態系(河川アダプトの場合)

河川の指標となるもの水質や生態系。堆積することで川幅がせまくなり、川の生態系が変わる。 また、水がたまる場所は、水質が悪くなる。整備の前後で水質調査をすれば、動物が少なくなるなど「数字」としての結果が出てくるのではないか。

また、河川の災害について、大雨の際に堆積物を流す。ものすごい大雨であればすぐに増水するが、ちょっとした大雨であれば、 翌日ゆっくり増水する。堆積物が あればその分、危険水位が近くなる。そのため、ある程度の整備が必要である。 水辺の学校や蛍の放流など川を使った施策的なものを調べてみてはどうか。

回答:青梅市ごみ対策課

・協働によりどのような成果が出たのか

アダプトは協働による環境美化活動。行政単独では解決できない、あるいは市民だけでは解決できない問題がある場合に、お互いの不足を補い合い、ともに協力して課題解決に向けた取り組みをするもの。協働しあうことでどのような成果が出たのかが指標になるのではないか。

・市民の満足度

市民意識査をすることによって「地域の環境がいいと思う、悪いと思う」など市民の満足度を測るのもよい。市民満足度が何%から何%まで向上させますというのも、指標になるのではないか。

・あえて目標数値化をしない

行政が目標値を定めてしまうと義務的なものになってしまうと思っています。活動は自主的・主体的にやっていただきたいので、基礎情報は取っていますが目標は定めていません。
回答:藤沢市市民自治推進課(アダプト・シンポジウム2011より)

・参加することに自体が評価に値する

アダプト・プログラムに参加すること自体が、評価に値することではないかと思っています。 その中で具体的にどういう活動であったというのはそんなに大きなことではないのかなとは思っています。 「自分の街に興味をもってくれた」「環境に興味を持ってくれた」そして「アクションを起こした」これだけでも意味のあること。
回答:八戸市環境部環境政策課(アダプト・シンポジウム2009)

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(3)評価対象により異なる評価指標

アダプト・プログラムの導入目的によって評価指数は変わってきます。

”まちの美化”を目的とした場合は「どれだけまちがきれいになったか」が評価のポイントになりますし、 ”協働”や”地域活性”が目的であれば「どれだけ協働や地域活性が進んだか」が評価のポイントになります。

■ 部署によりアダプトに対する主な評価が「美化」又は「協働」に分かれる

団体数増加により下記のような問題が起きています。

・環境関連部署…”美化”が主な導入目的(まちがどれくらいきれいになったか、等)
・市民協働部署…”協働”が主な導入目的(アダプトを通じてどのくらい人が交流したか、等)

アダプトを担当している部局が様々であり、それに伴い指標・目的も様々です。原点を見直し、 目標設定をしっかりすることで、導入した評価や成果が決まるのではないでしょうか。

<例>
目標(目的):美化→指標:まちの美化が進んだか
目標(目的):協働→指標:協働
目標(目的):コスト削減→指標:コスト削減
目標(目的):観光地→指標:観光客のイメージアップ
目標(目的):ビラ対策→指標:ビラが減少したか、街がきれいになったか

■ 市民に対する評価

・ 団体数、参加者数
団体数、参加者数が増加すれば、対象となる場所(面積)も増え、きれいになる場所も増える。
⇔問題点:登録団体数の増加だけでは、「里親の置き去り」などの問題や団体間のやる気の違いなどから、 きれいになった場所が増えているとはいえない。

・ まちの印象…観光客をターゲットに考えた場合、まちの印象も評価基準になりうる。
・ アダプト導入前・後でどのくらいきれいになったか。きれいになった場所が増えたか。
・ アダプトの活動をきっかけにどのくらい新しい興味や活動などの広がりを持ったか。
・ 活動の事例数

■ 行政に対する評価

・ どのくらい市民の満足度を上げたか。(広報や活動紹介、交流会などを通した広がり、用具の提供、など)
・ 費用対効果(コスト)
(2010年度第1回アダプト・プログラム研究会より)

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