アダプト・プログラム

5.行政の支援内容


◆ 目次

(1) 募集方法

募集方法を全国的にみると、自治体広報紙やチラシ、ホームページ、口コミ、直接など様々です。市民団体アンケート調査(2009年実施)で、 「アダプト・プログラムをどこで知ったか」を多い順に挙げると次の通りです。

  • ・自治体担当者
  • ・自治体広報紙
  • ・自治体その他(ホームページ等)
  • ・他の市民団体/活動仲間
  • ・マスコミ(テレビ、ラジオ、新聞、CATV等)
 

○ 参考例-広報紙(香川県)

広めた方法は、国土交通大臣表彰や日本道路協会会長表彰の推薦依頼があった時、 環境美化活動等を何年以上行ってきた団体を紹介し、推薦してきました。

そうした団体を把握し、平成12年度にモデル事業を始める際は表彰歴がある団体を選定して、 ご意見をいただきながら制度設計をしました。 今は144 団体まで団体数が増えましたが、広報の役割が非常に大きいと思います。意見交換会を毎年開催していますが、 参加したきっかけは県の広報紙の記事を見たとい うのが多くあります。 また、テレビ放送などのマスコミをいかに活用するかということが非常に大事だと思っています。

回答:香川県土木部道路課(アダプト・シンポジウム2011より)

○ 参考例-口コミ

参加団体は口コミで自然に増えている。市の制度は、目標数も達成しており、成熟期を迎えている。現在活動している人に対し、 もっと啓発をしていこうと考えているところである。会報誌の掲載記事よりも、安全のために配布している活動者の帽子やユニフォーム などを見て、 問い合わせがくることの方が多いと感じている。

また、河川、学校、都市建設内の公園など他部局からの紹介による登録も多い。職員が市民として町内でアダプト活動しているので、職員にも認知されている。

回答:市町村・環境関連部署他の市民団体/活動仲間

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(2) 行政の支援内容

◆ 全国的な動向

 

アダプト・プログラムは「市民と行政の協働」で行われ、両者で役割分担を決めます。

各自治体によって支援の内容は様々ですが、行政の役割は一言で言えば、市民の活動をサポートすることです。

ごみの収集(ごみ処理費の免除)、清掃に必要な用具の提供、のぼり・ビブス等の貸与、傷害保険の加入、サインボードの掲出、 活動促進のための情報交換会や情報誌の発行などがあります。

制度の内容や予算、活動団体数(登録人数)等の状況により自治体ごとに異なります。

→関連リンク: 
市民・活動団体向けQ&A 行政はどのようなことを支援してくれますか?(リンク)

○ 参考例-八戸市

市から提供するのはごみ袋で、燃やせるものは清掃工場、燃やせないものはリサイクルプラザにそれぞれ搬入していただいています。 搬入していただくところまでがクリーンパートナーの役割という位置付けで、その搬入の手数料を減免するというだけです。 他に市から金銭に換算出来るものを提供することはありません。

回答:八戸市環境部環境政策課(アダプト・プログラム・シンポジウム2009より)

◆ のぼり、ユニフォーム、襷など効果

 

団体にとって制度名の入ったユニフォーム等を着用することで「作業中・活動中」であることがわかり、活動等の安全確保につながります。

また、県や市に認められて活動していると示すことができ堂々と清掃活動できるようになったり、 清掃活動をしていることを通行人等に見せることでポイ捨て防止啓発の効果があります。


(3) 活動中の安全対策とボランティア保険

◆ 活動中の安全対策

 

道路であれば活動場所を歩道に限定するなど事故が起きにくい場所を対象としている自治体が多いですが、保険に加入する以外の安全対策として、 安全ベストや作業警告板の支給・貸与、救急箱の支給を行っているところが多いようです。

また、熱心な活動団体ほど無理をする傾向にありますので、体調が悪いとき、天候が悪いときは無理をしないよう声かけをしましょう。

◆ ボランティア保険

 

アダプト・プログラムを実施している多くの自治体において、万一の事故に備えボランティア保険に加入していたり、その費用を負担しています。

2013年度のアンケートの結果では85%の自治体(制度)で加入・費用負担をしており、毎年アンケートを実施していますが割合は変わりません。

代表的な保険には、社会福祉協議会のボランティア活動保険、各自治体が運用する市民活動災害補償保険、全国市長会市民総合賠償補償保険、 民間生保損保会社の活動傷害損害保険などがあります。

掛け金、保障内容等を考慮し見積もりをとって決める例が多いようです。

→関連リンク(参考) :
「ふくしの保険」(社会福祉法人全国社会福祉協議会)(外部リンク)

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(4) サインボード

目的や効果、記載内容等について詳しく説明しております。

◆ 表示内容の現状分析と提言

 

■サインボード掲出の目的と期待効果

  • ・制度導入の告知、および制度のPR
  • ・活動団体名の掲出→活動団体の活動の顕彰
  • ・通行人、来訪者へのポイ捨て防止啓発

■実際に記載されている事項

実際には、各地のサインボードには様々な情報が記載されています。記載内容を要素別に分類すると、およそ12項目になります。

  • 1.制度の呼称
    (アダプト・プログラムを冠した呼称とアダプトという言葉を全く使わない呼称など、
  • バラエティー豊かです。)
  • 2.活動団体の名称
  • 3.「活動内容(清掃活動)」または「活動団体からのアピール」のいずれか。
  • 4.清掃活動区間(場所)
  • 5.導入場所のイラスト(道路のイラストなど)
  • 6.導入主体(自治体名、自治体部署名)
  • 7.制度主旨の説明
  • 8.ポイ捨て防止の呼びかけメッセージ
    または、まち美化の呼びかけメッセージ
  • 9.制度のシンボルマーク
  • 10.制度のシンボルロゴ
  • 11.制度のシンボルキャラクター
  • 12.自治体(地域)のシンボルマーク
 

■記載事項の整理

「掲出の目的」と「実際に記載されている事項」の双方から判断し、以下の通り、「記載すべき要件」と「任意記載事項」とに整理しました。

<記載すべき要件>

  • 1.制度の呼称(名称)
  • 2.活動団体の名称
  • 3.活動内容とアピール…○○(場所・区間)は私たちがきれいにしています
  • 4.制度導入自治体(部署)の名称

<任意記載事項>

  • ・地域として強調したいメッセージ
  • ・シンボルマーク、スローガン etc.

■アダプト・プログラムとしての共通イメージの訴求

<現在の状況>
各地の独自性溢れるサインボードが地域の取組みを活性化。ただし、各地情報発信の相乗効果は少ない。

<今後の展望>
独自性を生かしつつ、アダプト制度として全国共通のイメージを訴求。その相乗効果により、さらに輪を拡大しましょう。

 

■ 設置の担当課

アダプトの担当窓口が一般的です。関係機関へ占用申請等の提出が必要です。

協働推進部門、環境部門が窓口の場合は、設置受付をその部署とし、実際の設置は場所の管理部署と連携して行う場合が多いです。

■ 設置費用(材料費、設置費等)

@○○円×△△基(△△団体分)=□万円

予算については備品購入費等として、1個あたりの値段に目標団体数(年間)をかけた額で計上している自治体が多いようです。形状や素材により価格は異なります。

■ 参加団体の団体名・社名等が変更した場合

変更の依頼があった場合には、シール等で修正する、古くなった時点で新しく立てかえる、などの方法で対応しているところが多いようです。

■ 参加団体が辞退した際のサインボードの扱い

活動辞退の際にはサインボードを撤去します(担当部署が実施)。また、撤去の予算措置は計上している場合と、計上せず全体の予算の中でやりくりする場合があります。

■ サインボードに企業名が掲出されることについて

自治体が公共の場所に設置する看板に特定の企業名を掲出することについて色々な意見がありますが、企業のアダプト活動においても他の団体と同じように扱うケースが多く、 サインボードも同様に掲出している自治体が多いです。

また、企業にとっては行政の後ろ盾があることが分かり、近隣の住民にアピールすることができたり、コミュニケーションのきっかけとなったり、 企業活動が円滑になるなどのメリットがあります。

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(5) ごみの回収・処理方法

活動団体が自宅へ持ち帰るケースや所定の集積所まで持って行くケース、自治体(委託業者)が個別に収集するケース等、各自治体により異なります。

○ 参考例-「事前に連絡」(仙台市)

回収したごみは、事前に環境事業所に連絡しておくと取りに来てくれます。

○ 参考例-ボランティア袋に入れてご自身の集積所に出す(佐賀市)

本市ではごみ収集をステーション方式で行っておりますが、アダプト活動で回収された国・県・市道・公園・河川域等の清掃ごみも、ボランティアの袋に入れて、ご自分の集積所に出していただいています。ただし、ごみの量が多く集積所に出せない場合は、環境パ トロール係で回収します。

回答:佐賀市環境下水道部環境センター(アダプト・シンポジウム2008)

○ 参考例-指定場所へ搬入する(八戸市)

燃やせるものは清掃工場、燃やせないものはリサイクルプラザにそれぞれ搬入していただいています。搬入していただくところまでがクリーンパートナーの役割という位置付けで、その搬入の手数料を減免するというだけです。

集積所のトラブルに注意!

活動で集めたごみを普段出す集積所とは違う場所に出す際に、活動団体が場所がわからなくて違う場所においてしまう、担当部署へ活動報告が遅くなりごみの回収が遅れるなど、地域の方から市に苦情が来るケースが多く報告されています。

活動団体には集積場所、連絡するタイミング等をよく確認・説明してください。

 

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(6) 金銭による支援

全国的には少数ですが、活動資金の一部に対し金銭により支援している自治体もあります。

団体にとっては自由に活用できるというメリットがある半面、団体数が増えると予算も増やさなければならない、 あるいは新規参加団体の募集打ち止め、休止措置をしなければならない等、デメリットもあります。

■山形県 マイロードサポート事業

地域のみなさんが道路のごみ拾いや除草・草刈・歩道除雪など、道路をキレイにする活動を行い、県は活動に必要な軍手やごみ袋、 草刈がま、除雪機燃料などを購入する費用やボランティア保険料を負担し、活動へのサポートを行っています。

→関連リンク : 山形県マイロードサポート事業について(外部リンク)

■ 東京都 ふれあいロードプログラム

活動に係る費用は原則として参加者に負担していただきますが、活動を応援するため、清掃用具や花の種・苗の購入に係る費用の一部を支援しています。詳しくは、 申し込み窓口にお問い合わせください。

→関連リンク : 東京ふれあいロード・プログラム(外部リンク)

■ 富山県 道路愛護ボランティア

 

a) 物品支援(年間1団体当たり)

※「清掃・美化」と「緑花活動」の両方を行う団体は、それぞれ支援を受けることができます。

b) PR活動

広報誌「ボランティアNEWS」をはじめ、各種広報媒体を利用してみなさんの活動を紹介します。 団体名、活動内容等を記載した表示板を活動場所に設置することができます。

c) 保険への加入

作業中のケガや事故に備えて、傷害保険、賠償責任保険への加入を行います。
(※加入手続きや保険料は県で負担します)

→関連リンク : 道路愛護ボランティアの募集について(外部リンク)

■ 福岡県 クリーンリバー推進対策事業

支援内容は以下のとおりです。
1.年度当初に需用品の支給(1団体2万円相当)
2.活動中の万一の事故に備えて、傷害・賠償責任保険へ加入
3.毎年3月の活動報告提出後に、1団体につき年5万円の報奨金の支給
4.活動区間に団体名・活動内容・区間を記載した、表示板(アダプト・サイン)を設置します。(予算上の制約により、順次実施します)

→関連リンク : クリーンリバー推進対策事業(外部リンク)

■ 大分県 道路愛護ボランティアサポート事業

美化事業(県管理道路の法面の草刈り作業)、支援事業(同植樹帯への花植え活動、ガードレール、落ち葉などの清掃活動)等に対し経費の一部を活動奨励金として支援。

→関連リンク : クリーンロード支援事業について(外部リンク)

■ 広島県 アダプト制度

中間支援組織であるNPO法人ひろしまアダプトを経由して活動資金の一部を支援

→関連リンク : 広島県アダプト制度情報サイト(外部リンク)

■ 富山県高岡市 環境美化協定

活動の一部を助成金として支援

→関連リンク :  環境美化協定(アダプトプログラム)について(外部リンク)

■ 岐阜県米原市 エコフォスター事業

清掃用具購入、傷害保険料を補助金として支援

→関連リンク : 米原市エコフォスター事業(外部リンク)

■ 広島県江田島市 アダプト活動支援事業

中間支援組織であるNPO法人ひろしまアダプトを経由して活動資金の一部を支援

→関連リンク :  江田島市 アダプト活動支援事業(外部リンク・PDF)

■ 岡山県井原市 道路アダプト事業

清掃美化に要する経費を支援

→関連リンク : 道路アダプト(外部リンク)

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