アダプト・プログラム

米国アダプト・プログラムに関する調査(2012)


米国アダプト・プログラム(Adopt a Highway)に関する調査(2012年度)

2013年2月作成内容

食品容器環境美化協会の派遣団が2007 年のテネシーで開催された国際アダプト・プログラム会議に参加して以降、米国におけるアダプト・ア・ハイウェイ・プログラムの調査は行われていない。そこで、2008年~2012年の5年間の変化をフォローアップし、概観する。



【目次】


1.はじめに

【目次】


・予算削減と清掃費の増大

新自由主義政策により、我が国もさることながら、米国においても行財政は厳しい状況にあります。一方、右表のとおり、散乱ごみの清掃に要するコストは増大しています。
毎年開催していた国際会議が、WEB を利用したオンライン会議で代用するなど、限られた予算の中での工夫がみられます。
サインボードの有料化や、安全ベストの使い捨てから使い回し等が導入あるいは検討されています。


出所:MoDot Stacy Armstrong

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・一斉清掃と回収費用の節約

4月22日のアース・デイ(*1)など、特定の日を定めて一斉清掃を進めています。活動がマンネリ化した団体は、日程調整自体もおっくうになりがちだが、一斉清掃の日を決めることで、モチベーション効果があるといいます。ただし、特定の日が雨天になった場合や、どうしてもその日に実施できない団体の事も考慮して、一定の幅を持たせています。

また、各団体の分散活動と比較して、一斉清掃によりごみの回収が集約的に行えるため、上記の予算不足との兼ね合いになるが、コスト削減になる。通行者の景観的な観点からも、一本の道路を走行していて、一斉にきれいになるので、印象が良い。

(*1) 4 月22 日に最も近い週末にアース・デイのイベントを行なうことが一般的。

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・州のプログラム活動団体数の逓減と郡・市等のプログラム拡大

本報告書のミシガン州のリポートにあるように2005 年頃にいったん減少し、再び持ち直したりしている州もあるものの、全体としては州のプログラムの活動団体数は減少傾向にあるといえる。

1998 年とで比較すると、ペンシルバニア州7,292 団体→7,123 団体、ノースキャロライナは7,000 団体→5,630 団体、バージニア州6,200 団→5,000 団体といずれの州も僅かに減少している。

米国は連邦政府であり、州ごとに立法権を持っているため、法律・政策が州ごとに異なり、状況はそれぞれ異なる。 国際アダプト会議の初代代表オクラホマ州の ジョアンさんが引退してから、全米調査を行っていないこと、また、州が必ずしも増減の要因を分析していないことから、一概に言い切れないものの、以下のよ うな傾向が見られる。


出所:MoDot Stacy Armstrong

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・活動団体の高齢化、担い手不足問題

15年、20年と継続している、表彰に値するような団体ほど、高齢化が顕著になっている。

スポンサー・プログラムを導入し、順風に見えるカリフォルニア州でも、担い手が欲しいが決まっていない場所が50%もある。 ビバリーヒルズや、サンタモニカなど、有名で通行量の多い道路では、広告宣伝の価値も高いため、 ウエティングリストに100 団体も連ねているが、郊外の道路は担い手がつかないと困っている。

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・企業の支援増加

予算、担い手不足に対応するため、企業支援をプログラムに活かす取り組みが増加している。

社員による清掃活動参加は、プログラム発足時よりみられたが、1990 年代より、資金を提供する「スポンサー・プログラム」を導入する州が徐々に増え、 企業本業の物品やサービスを提供する「プロボノ」などの活動も上手く活かしている。

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2.最新事情

【目次】


・プログラムの仕組み
1) 活動回数・時期

標準アダプト・プログラムでは、清掃は年に4 回以上(3 か月に1 回以上)となっています。

ただし、スポンサー・プログラムを実施している州で、特に都心部をアダプトしているケースなどは、もっと頻度の高いところもあります。

一方、ロッキー山脈のふもとのコロラド州などでは、雪に閉ざされた期間は清掃活動ができないので、冬の1 回は欠番で、年に3 回としていることもあります。 逆に雪解けでゴミが露わになる春に一斉清掃を行なうなど、工夫をしていています。

2) アダプト活動参加者の年齢制限

州によって異なります。年齢制限なしの州もあれば、6 歳~、12 歳~、15 歳~など多様です。

例えば、カリフォルニア州のパンフレットを見ると、参加できる若者の年齢は、16 歳以上となっています。 ただし、その場合でも、若者5 人につき21 歳以上の監督者が1 人の割合で付いていなければなりません。 例えば、若者10 人参加する場合には、21 歳以上の監督者が2 人以上必要ということになります。

3) 行政の支援内容

アダプト・ア・ハイウェイ・プログラムにおける行政(=州交通局)が支援する内容は州によって異なります。 おおむね共通している支援内容は、以下に説明する「安全指導のパンフレット」「ごみ袋」「安全ベスト」「サインボード」「ゴミの回収費用」です。

安全指導のパンフレットやビデオ:
必要部数を無料で提供・配布しています。ビデオ(CD・DVD)の上映は、活動前に毎回義務付けています。

ごみ袋:
ごみ袋は道路わきにそのまま置いておく方式なので、回収の際に発見しやすいように、清掃活動中の可視性(安全性)を考えて、派手な色の袋を提供しています。

ゴミ収集(処理):
ごみの収集・処理責任は、州交通局が担っている場合が多いです。直接、州の交通局が回収する場合もあれば、委託業者に回収させる場合もあります。

カリフォルニア州、ワシントン州、ミシガン州、ニューヨーク州といった都市化の進んだエリアでは、家庭ごみは有料サービスとなっています。 従って、日本で実施されているような、活動団体が当該自治体のごみ分別の区分に準じて処理することはなく、州交通局が処理します。

逆に埋め立て処理場に余裕のある州で、ゴミを無料で受け入れる体制のあるところでは、活動団体が、直接持ち込みをする場合もあります。 (例:テキサス州のウイリアムソン郡の協力的な埋め立て処分場では、一斉清掃の際、期間限定で、持ち込みごみを無料で受け入れています)

アリゾナ州、カリフォルニア州など、スポンサー・プログラムを導入している州では民間の清掃業者が担当しています。

安全ベスト:
2006 年安全指導の方針が変わったために、それまで使い捨ての安い(1枚1ドル程度)の単なる派手な色にプラスチックのベストから縦横に反射板の入っている縫製された ベスト着用が義務付けられました。当然、1 ドルでは購入できないため、最近では貸与という形をとっています(使用後に回収して、何度も使いまわしています)。

サインボードの設置:
無料で設置している州(アリゾナ州、アイオワ州など)もありますが、ワシントン州のようにサインボードの設置費用を請求している州もあります。 カリフォルニア州では、標準仕様は州が負担しますが、追加で装飾的なものを希望する場合(ただし、道路標識の基準に準じる必要があるため自費であれば何でも良いわけではない)には 団体の自費負担といった棲み分けをしています。

4) ハイウエイ(*1)以外の活動場所

米国でAdopt~というのは、主にはひとの子供の養子縁組に使われる言葉で、それが犬や猫にも応用されて、犬猫の譲渡などに一般的に使われています。

 本件でいわゆる公共空間でのハード管理としてのアダプト・プログラムは、道路(中央分離帯、休憩所)、 河川、森林(単体の木)、海岸、公園、駐車場「Park&Ride」(*2)、駅などが対象となります。

公物管理ではなく、ユニークな例としては、ソフト面で「学校」や「教室」のアダプト・ア・スクールなどがあります。 これは財政難等によって十分な授業を提供できない学校に対して、企業が資金だけでなく人材やノウハウを提供する仕組みで、企業の社会的責任(CSR)として実施しているケースです。

(*1) ハイウエイには、州道(State Highway)、州際道路(Interstate Highway)があります。

(*2) シアトルなどにある車の駐車場と電車の駅の複合施設。自宅からハブとなる駅まで車、駅から都心へは、LRT電車を利用。

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・活動の活性化の工夫・支援策
1) 感謝状贈呈・表彰の実施状況 サインボードへの刻印等

感謝状や表彰は、どの州でも行われています。オクラホマ州では、トロフィーを買うお金がないので、道路に落ちているタイヤのホイールカバーの中から、 きれいなものをピカピカに磨いて、トロフィー代わりにしています。

サインボードの10 年継続、15 年継続、20 年継続といった追加で表彰するステッカーや刻印は、徐々に広まっていますが、まだ、いくつかの州で導入している程度です。 10年継続、15年継続を賞状やタテで表彰するところもあります。

ノースキャロライナ州では、下の写真にある通り、★であらわしています。

ノースキャロライナ州・写真の出典- ノースキャロライナ州AAH パンフレットより

2) 感謝状贈呈などの基準

国際会議で担当者に聞いたところ、やる気を出してほしいので、様々な視点を取り入れて、まんべんなく底上げできるように工夫しているといいます。 そのため、賞に部門を設けて、高齢者のグループ、若者だけのグループ、女性だけのグループ、長期団体、始めたばかりの団体、今年最もユニークなごみを拾った団体、 といったように、年代、継続年数、性別など分け隔てなく、誰もが賞を取り可能性を秘めるようにしているとのことです。

われわれ日本人が思う賞とは異なり、受賞者にはランチパーティの招待状が届き、そこで他の表彰者との交流会を開催するなどの工夫もなされています。 それでも、やはり、多くの州で、20 年超えの長期活動団体については、感謝状やタテが贈られたりしている。

(オレゴン州の例)
TRADITIONAL MOUNTAINEERING(外部リンク)

3) 企業のアダプト・プログラム支援の取組み

企業による支援形態としては次のようなものがあります。

・社員によるボランティア清掃活動参加(労働の提供)
他のボランティアと同様に、地元のビジネスを展開している場所で、店の前を社員とともに清掃する形態。(どの州でも導入されています)

スポンサー・プログラム(資金の提供)
スポンサー・プログラムを導入している州や自治体におけるプログラムに参加する方法。 州が事前に認定した清掃業者の中から、見積もりを取って指定業者と契約を締結し、プロの清掃費を負担することで、 当該区間にスポンサーとしてのサインボードを設置する形態。

スポンサー・プログラムを導入している州(アリゾナ州、ネバダ州、カリフォルニア州、ニューハンプシャー州、コネチカット州、ニュージャージー州、 インディアナ州、ニューヨーク州、カンザス州、ノースキャロライナ州、マサチューセッツ州、メリーランド州、ロードアイランド州、ミズーリ州、ワシントン州)では、 民間の清掃業者に委託して回収しています。

アダプト・プログラムの受託に特化した2大業者

Adopt-A-Highway Litter Removal Service of America, Inc.

Adopt A Highway Maintenance Corporation® (AHMC)

プロボノ(本業での物品やサービスの提供)
本業がペンキ屋であったり、安全ベストを取り扱う業者であったりと、 プログラムに関わりのある物資の支援を行う場合。また、サービスを提供する生業の場合にも同様に、〇トンまでは無料でごみ回収するといったように、 プロフェッショナルの立場で、サービスを無償提供することで貢献する形態。

4) 地区ごとのコーディネーターの活動

Regional Coordinator, District Coordinator, Local Coordinator など、呼び方は様々です。

米国では州政府の担当者が地域代表(=コーディネーター)となっている。引退した方が引き続き担っている場合もあります。

各州の交通局のWEBサイトに行くと、問合せ先一覧として、地区、担当者名、住所、e メールアドレスがリストになって紹介されています。

一般の人がアダプト・プログラムに参加したいと希望していても、たまたまドライブしていて、「ここのアダプト区画は、空いています。活動者募集中!」 というサインボードを見ない限りは、一般の人にアダプトする区画を見つけることは難しいです。そこで、地区のコーディネーターが、州で管理しているデータベースで検索し、 活動者に適した場所を見つけてあげるお手伝いをすることがあります。 最近では、パソコンの機能もインターネットの機能も充実しているので、マップに落としてあるので、地図を見ながら場所を選ぶことができるようになっています。

サンディエゴの第11 地区の地図の例
District 11 Adopt-A-Highway Status Map(外部リンク)

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・ PR 広報・関係者との連携協力
1) 知事や上位者のプログラムへの意識、支援の状況

日本の多くの自治体で道路愛護団体等によるボランティア活動の延長線上で導入されているプログラムと異なり、米国の州プログラムは、 根拠となる法体系5が定められています。そのため、応援する・しないというよりも、州の政策として位置づけられているもので、 市民の貢献を知事や市長が称えるという意味において、表彰式などに呼ばれたり、市民の社会貢献を側面支援することは多いです。

ただし、ネガティブな側面として、アダプト・プログラムには、だれでも参加できて、少なからず広告宣伝効果があるため、 KKK(*3)やネオ・ナチなどの団体が活動してサインボードを掲げることに対して、批判の声が止まないのも事実です。

(具体例)

カリフォルニア州インディア地区において、アダプト・プログラムの担い手募集の説明会開催の告知。インディオ地区の商工会議所にて、 朝食付きの会合で、市長も出席して市政の最新情報の報告とともに、カリフォルニア州交通局からAAH プログラムの説明とある。

過去にあったfacebookによるイベントの紹介

(*3)KKK:クー・クラックス・クラン 人種差別を行なう秘密結社。

2) 制度広報の手段

州でスローガンを掲げ、キャンペーンをNGO と連携して行うことが多い。NGO は上手にメディアを使って、お金をあまり使わないで宣伝効果を上げています。

テキサス州の “Don’t Mess with Texas”(テキサスを汚さないで)キャンペーンは、大成功を納めたことで有名です。

ジョージ・ストレイトのキャンペーン
George Strait 動画(youtube 外部リンク)

ウィリー・ネルソンのキャンペーンソング
Willie Nelson 動画(youtube 外部リンク)

ミシシッピー州のI’m not your MAMA(私は、あなたのお母さんじゃないのよ!)も有名。
このご婦人は、当時の州知事のファーストレディPat Fordice さん
I’m not your MAMA 動画(youtube 外部リンク)

3) 各州の活動団体の紹介、PR

各団体の紹介は、州のニュースレターなどで、順番に取り上げるなどして、やる気を盛り立てる方法を工夫したり、WEB サイトで、表彰団体の写真などを公表しています。

(写真) カリフォルニア州の表彰団体の紹介WEB サイト

4) アダプトと類似の他制度との棲み分け

行政管理区につき、管理者が明確なので困ることは何もないと思われます。ただし、一般市民がその道路が州道なのか、郡道なのか、 市道なのかは区別がつ かないので、州のWEB サイトでも、州内にある別の郡のプログラムや市のプログラムを紹介するサイト(リンクと問合せ先)を紹介している例があります。

(上)アリゾナ州交通局のWEB サイト
「州内の郡や市の実施するアダプト・プログラムの紹介サイト」
アリゾナ州交通局サイト(外部リンク)

5) 活動団体のコミュニケーション

かつては、紙で活動の予告や事後報告を行っていたものが、最近ではインターネットのWEB フォームで入力して報告するようになったことは、一つの変化といえます。

日本と異なり、もともとタイプライターの文化である米国では、同じキーボードのPC の導入は比較的抵抗なく、高齢者も利用しています。

ノースキャロライナ州活動報告フォーム(現在閉鎖中)

6) アダプト活動者と一般市民の意識の落差

アダプト・プログラム自体が、教育・啓発プログラムであり、活動することで自らが捨てる人にはならないという教育的効果があることから、 当然のことながら意識の差はあると思われます。

宣伝広告に看板を立ててほしいだけで、参加している隠れアダプト参加者もおり、そういう会社や団体は、 2か年の協定期間が終了した時点で、成果をあげなかったということで継続はされません。

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・ 米国以外の国でのプログラム状況
1) 米国以外のアダプト・プログラム実施国
  • ・オーストラリア
  • ・ニュージーランド
  • ・カナダ
  • ・メキシコ
  • ・プエルトリコ
  • ・アイルランド
  • ・日本
2) オーストラリアでの導入州

南オーストラリア州以外に、ヴィクトリア州、クイーンズランド州で行われています。

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3. アメリカ各州の状況 

州名をクリックすると各州の資料を読むことができます(PDF)

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4. アメリカ以外のアダプト・プログラムの状況

州名をクリックすると各州の資料を読むことができます(PDF)

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5. 参考資料

タイトルをクリックすると資料を読むことができます(PDF)

■ 国際アダプトWEB会議におけるコメントおよび質疑応答
2010年国際アダプトWEB会議 資料(PDF)

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