環境学習支援

第9回(2008年度) 散乱防止活動部門 最優秀校 文部科学大臣奨励賞


埼玉県戸田市立笹目中学校

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受賞時(2008年度)の活動概要

通学路を始め、校区内の公園や駅周辺、笹目川遊歩道沿いなど地域の清掃活動を2001年に開始した。当初は、生徒の健全育成や思いやりの心を育む狙いが込められていたが、年々規模が拡大。現在は住民も加わるボランティア活動として土曜日の午前中に実施、年間10回ほど取り組み、昨年の参加人数は延べ1135名に及ぶ。当日の司会から進行、諸準備など運営を担うのは生徒会。今年度は、近隣の小学校にも働きかけて合同クリーン活動を行った。ビンや缶・ペットボトルなどに分別した後のポリ袋は、一枚一枚手洗いし干してから再利用するなど、環境意識も向上。養われたボランティア精神は、花壇づくりにもつながり、地域からは「生徒が落ち着き学校もきれいになった」「生徒がよくあいさつをしてくれる」と高評価、地域全体にもいい影響を与えている。

受賞から11年後

2019年現在の活動状況

大人が捨てた道徳を生徒が拾い集め地域環境に貢献

1. 活動の広がり

生徒指導の一環として開始した「地域クリーン活動」は、約20年経過した現在も、ボランティア活動として継続実施されている(①)。同校周辺の道路沿いや倉庫・工場街に散乱しているペットボトルや空き缶、たばこの吸い殻などの回収作業を生徒会が中心となって年5回行い、そのうち2回は近隣小学校や住民にも呼びかける地域の行事として定着(②)。校区内を細かく分けて班ごとに取り組む中で、住民と関わり、地域から認められることで、生徒自らの心の成長に深く寄与し、学校全体の雰囲気作りに一役買っている。一方で、保護者の協力を得て行う校舎周りの花壇の植栽は、地域に直接環境改善をもたらすなど、美化活動を通じて内外両面の相乗効果を生んでいる。

2.環境の変化

近年、地域に外国人が増加し、ルールやマナーの違いからポイ捨てごみ問題が深刻化している。生徒主体で進める清掃活動が追いつかないほどだが、ごみが放置された場所にごみが溜まっていく状況に目を向け、きれいにすればポイ捨てしなくなるという人の心理をついた作戦を打ち出した。地域とともにある学校の生徒としての自覚を持ち、自分たちを見守ってくれる住民に恩返しをしようと粘り強く美化活動に励んでいる(③)。

3.住民との関わり

開かれた学校づくりを掲げ、地域住民が講師となって体験学習講座を開催する、学校応援コーディネーター制度を2008年に導入。学校と家庭、地域の教育力を生かした、普段の授業では味わえない貴重な場となり、こうした連携がボランティア活動を支えている(④)。

4.これから

美化活動等を通じて地域交流を図る中、あいさつが飛び交う「あいさつがあふれる学校づくり」に共感した学校運営協議会委員から、「あいさつがあふれる地域」にしようと提案が寄せられた。ハード、ソフト両面で地域を創る土壌が整い始めた(⑤)。

環境美化活動に関わる人たちの声

2009年度卒業生 鮎ヶ瀬 友美さん(小学校教諭)

当時、生徒会本部で地域清掃活動の運営を担っていたので、受賞を聞いたときは本当に嬉しかったです。豪華なホテルで大勢の人たちを前に行われた授賞式は、とても緊張しましたが、その場に立つことができた意味や、みんなといっしょに積み重ねてきたことを改めて考える貴重な機会にもなり感謝しています。
振り返れば、決められたエリアでポイ捨てごみを回収しながらゴールの学校を目指す清掃活動は、大変だった分、みんなで最後まで頑張ろうという団結力や根気が培われたように思います。いつか役に立つときがくるので、ぜひ誇りを持って活動を続けていってください。

地域住民 鮎ヶ瀬 尚美さん

受賞時に比べて清掃活動する生徒が減少しているように感じます。学校の話によれば、ボランティアに参加したいけれども、部活動を優先しなければならない生徒が少なくないそうです。たとえば、清掃活動がある日は、一斉に部ごとにボランティア参加し、終了後に活動を行うなど、臨機応変に取り組めば参加者がぐんと増えると個人的には思います。
また、マナーやルールがわからない外国人には、生徒がいろんな言語で記したポスターを地域に掲示したり、清掃活動をアピールしたりするなど、中学生が積極的に情報発信していけばもっと広まっていくのではないかと期待しています。

生徒会担当教諭 小松 裕人さん(プロジェクト委員長)

美化活動は街がきれいになるだけでなく、自分たちが住む地域に目を向けるきっかけにもなります。ポイ捨てごみを回収しながら、地域をもっとよくするためにはどうしたらいいかという社会参画の視点を持つことが、大人になる過程で、中学生の今がとても大事だと考えています。

在校生3年 道久 大さん(生徒会本部 書記)

地域の清掃活動中に困っているのは、自動販売機の横にある回収箱が満杯であふれているから、その周囲にどんどんポイ捨てされてしまうことです。もっと回収箱の数が増えれば、ごみが散乱することはないと思うので、回収業者にはそうした対策をとってほしいです。

在校生2年 高橋 茉那さん

今までは生徒会が清掃活動の企画から運営までを担ってきましたが、人数の割に負担が多くて思うように呼びかけができませんでした。今後は美化緑化委員会にも担当を分担してもらい、私たち生徒会は補佐にまわりながら、もっと参加者が増えるように一丸となって取り組んでいきたいです。

学校長 二瓶 亮さん

人が捨てたごみを拾うのは嫌な気持ちになるかもしれませんが、生徒には「大人が捨てたごみ(道徳)を私たちが拾って自分の徳に変えよう」と呼びかけています。ごみをひとつ拾うごとに自分の徳が増え、しかも地域が美しくなるから、みんなで徳を拾いに行きましょうと喚起を促しています。

埼玉県戸田市立笹目中学校

住所:埼玉県戸田市笹目4-38-1
電話:048-421-1462
全校児童数:600名
アクセス:北戸田駅から徒歩で約15分

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