青森県の西海岸に位置し、津軽藩の御用港として栄えた鰺ヶ沢町。同校では、その環境を生かした学習を展開している。長年取り組むのが「鰺ヶ沢町小中一貫ふるさと学習」。有形・無形文化遺産が点在する町の歴史的資源を、地域財産として継承するために、児童は、町の学芸員から、津軽藩や北前船貿易の歴史を学んでいる。代々続く「鰺ヶ沢甚句流し踊り伝承」は、住民から踊りをしっかりと伝授。一方、「食に関する学習」も盛んで、農家の協力でリンゴなどの収穫を体験。その過程で地場産業の農業が豊かなのは、土壌や自然環境が守られているからだということを体感。こうした学びの集大成として、「海洋環境保全学習」を実施。主に鯵ヶ沢海水浴場周辺の清掃で、青森海上保安部員から海洋ごみの種類などを学習している。海岸の漂着ごみは少ないが、多様な体験を積んだ児童の環境意識は高い。8のつく日をリサイクルデーに設定、町の美化に貢献。住民の指導を得て蓄積された児童の6年間の学びは、豊かな歴史に育まれた鰺ヶ沢町への恩返しという形に姿を変えている。